28日、安茂里地区元気なまちづくり市民会議が安茂里総合市民センターで開かれました。
今年は、住民自治協がまとめた要望事項を中心に市とのやり取りが展開されました。
要望事項は4点。一つは安茂里地区の有害獣対策、二つは江戸時代に築造された「犀川旧堤防」の市文化財指定、三つに犀川堤防上へのウォーキングロードの整備、4つは市道差出犀北線(都市計画道路丹波島小市線)の未整備区間の歩道整備などです。
「犀川旧堤防」は、1847年(弘化4年)の善光寺地震による大洪水被害を踏まえ、松代藩が藩独自の自普請で小市南側から現小市橋手前までの間に築造した幅12m、高さ3.5m、長さ125mの堤防と、小市南団地南側で江戸幕府が国役普請で築造した、幅9m、高さ2.7m、長さ300mの堤防を指します。この国役堤防は「鍵の手」の構造で、大変珍しい築造物といわれています。
犀川の洪水と戦ってきた安茂里地区災害史を後世に伝える貴重な歴史遺産として市の文化財指定を求めたものです。
市教育委員会は、「江戸時代に築造された堤防として良好な状態で残存しているもので貴重である」との認識を示した上で、「指定文化財の候補物件になり得るかどうかを判断するため、調査検討を実施する」と答弁。前向きな姿勢を示しました。
堤防の文化財指定は「初めての指定」となることから、慎重な姿勢は崩していませんが、調査検討を始めるにあたり、地元に対し「(仮称)犀川旧堤防保存会」などの保存会を組織することを求めました。
私も現場を何度も見ていますが、大変貴重な歴史遺産だと考えています。しかしながら、一部に崩落も始まっており、早期に文化財指定を実らせ、補修工事と合わせ文化財として長きにわたり保存されていくことを願います。
完成堤防として整備された小市~差出南区間の犀川堤防上のウォーキングロードの整備は、河川事務所が「新たな占有許可はできない」「堤防の上は手を加えられない」としていることから、「困難」との認識を示しましたが、堤防の内側や外側の活用を含め、最終的には「引き続き検討を進める」ことになりました。
既に要望し検討が進められている小市区間における河川敷でのウォーキングロード整備、差出南の旧食肉センター跡地で備が進む「街区公園」、そして裾花川河川敷の既設の遊歩道などと結びつけ、施設全体の更なる利活用につなげていくことが大事です。
市道差出犀北線の歩道整備では、通学路となっていることや交通量から「歩道設置は必要」との認識を示し、「今後、45人の地権者の皆さんの同意が得られ、土地取得が可能であれば、都市計画道路としての整備に先行させ、暫定形で歩道設置を進めたい」としました。
現道路(道路幅11m)の砂利敷になっている部分は、善光寺用水路の上部にあたり、民地として地上権が設定されています。
北側の歩道は、狭く中部電力の電柱が通行を妨げる形となっていて、南側の歩道設置は懸案の課題となってきたものです。
16mの幅員が必要な都市計画道路としての整備には、今後10年以上の年月が要することから、通常の市道歩道整備として暫定的に着手する方向の転換は評価し歓迎したいと思います。事実上の空き地状態となっていることに鑑み、地権者の同意が得られ、事業として進捗されるよう、強く求めていきたいと思います。
生息調査のもとに有効な対策を求めた熊やイノシシの有害獣対策では、「有害獣の生息数調査は困難」「安茂里地区有害鳥獣対策委員会との連携」といった現状での施策の答弁に終わり、消火不良というか、フラストレーションが残る対応に止まりました。
猟友会や農協で組織される「有害鳥獣対策委員会」と区長や自治協との間に距離感がある実態を踏まえ、行政の「繋ぎ役」としての役割を示してもらいたかったと考えます。議員の役割でもありますが…。
鷲澤市長は、国事業の「地域おこし支援隊」や松代地区での自主的な電気柵設置事業を紹介しながら、行政にすべてお任せではなく、「地域のやる気、地域提案型が大事」「自分たちの街でこんな風にしたいから補助を」といった気運と取り組みを強調しました。
総論として異論はありませんが、だとするならば、住民自治協議会における経験交流の充実(部会間の交流を含めて)や、住民が取り組む上でのヒントをメニュー化してアレンジメントできるような啓蒙・宣伝、住自協の活動を支援・補佐する支所体制の充実がもっと必要ではないかと想いながら、若干漫然とし、しかも長~い市長の「まとめ」発言を聴きました。
鷲沢市長の現任期最後の「市民会議」です。
私は挨拶で「自分の問題で“熟慮中”の市長には心身お疲れのところご苦労様」と余分なことを述べつつ、住みよい・住み続けたい安茂里をめざし、国道19号の歩道整備、JR安茂里駅踏切の拡幅、マンボ坂の改修、更には常態化している浸水被害対策など、安茂里の懸案事項について、微力ですが、しっかりと取り組んでいくことを改めて表明させてもらいました。