11月30日から始まっていた12月市議会定例会が12月18日に閉会しました。
市内村山に建設する(仮称)第四学校給食センターの用地取得費としてH25年度から2年間で5億2千万円余の債務負担行為を設定するH24年度一般会計補正予算案や、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(一括法)の制定に伴う条例改正案、指定管理者に関する案件などに加え、最終日に追加提案された人事案件を含め、市から提出された72議案すべてを原案通り可決(人事案件は同意)して終了です。
また、請願の可決に基づいた「妊婦健診に対する公費負担の継続を求める意見書」、「子宮頸がんやインフルエンザ菌b型(ヒブ)、小児用肺炎球菌のワクチンの定期予防接種化と公費負担を等を求める意見書」を可決する一方、インフルエンザ予防接種自己負担額1000円の対象者を子どもにも広げることを求める請願、生活保護基準の引き下げをしないよう求める請願、学校給食センターのあり方について市民参加による検討を求める請願などは、賛成少数で否決されました。後段の請願はいずれも紹介議員となりました。
9月市議会で継続審査となっていた「救急救命センターの新たな指定を求める請願」は、引き続き継続となりました。
市側から提出された議案では、豊野温泉りんごの湯の指定管理者の指定に関する案件について反対しました。同施設の指定管理者は、株式会社オーチュー(東京)、Fun Space株式会社で構成される「りんごの郷運営企業体」でさらに5年間継続する議案ですが、湯量の減少による露天風呂の休止について、その原因であるパイプに付着する湯垢(スケール)を除去し湯量の安定供給を維持するための管理が市行政及び指定管理者のもとで的確・適正に対応されていないと判断したからです。
《12月市議会の論点》として7点報告しておきます。(とりあえずですが…)
➊大規模プロジェクトに追加された第四学校給食センターのあり方に関して…「自校給食方式ではなくセンター方式で進める、豊野給食センターは第4センターに統合する」「第三・第一給食センターの改築は、その段階で検討することとし、給食センター整備事業全体を大規模プロジェクトとはしない」との基本的な方針を示したうえで、「第4給食センターの建設・運営についてPFI導入を検討する」ことを打ち出した点がポイント。PFIによる学校給食センターの建設・運営について、前例調査を含め、課題を洗い出さなければなりません。
➋広域連合が計画するごみ焼却施設の地元における建設同意の方法について…アンケートや住民投票の意見がある中、「行政が決めるものではない。地域で方法を決定してもらうことが最良」とし、行政としては地域住民自治協議会等が主体となって建設同意の方法を決めるよう迫った格好です。ごみ焼却施設は建設地地元の受け入れ合意が鍵ではありますが、全市民的な課題です。「年内に同意を得たい」と強調する一方で、「建設同意の方法は地元で決めて」というのは、ご都合主義ともいえるのではないでしょうか。基本は理解するものの違和感が残ります。灰溶融炉の建設の是非問題も残っていますし、最終処分場の新たな建設に改めて言及したこともポイントです。
➌サッカースタジアムの建設問題について…、10月24日に開かれた「スポーツを軸とするまちづくり市民会議」でAC長野パルセイロ側から示された資料等が財務諸表等を含むため情報開示されないことが明らかに。これは問題です。市民に開かれた市民説明会で提示された資料は、公開されて当然のこと。一部の市民への公開で事足れりとするパルセイロ側の姿勢に基本的な問題があるのですが、パルセイロの言いなりに対応する行政としての責任も問われます。
➍長野電鉄旧屋代線の跡地活用の基本構想「千曲川新道活性化プラン」…鉄道敷きは自転車道と遊歩道として再整備し地域活性化に資することが基本。沿線3市で一体的な整備を図るとされました。沿線地元住民の要望を踏まえまちめられた案であることから、基本的に評価したいと思いますが、一般道との交差点が70カ所に及ぶこと、橋梁やトンネルが残ることから、自転車や歩行者の安全対策に万全を期すことが重要です。高校生等の自転車通学道路となることが十分に予想されることから、廃止代替バスの運行計画への影響等を見極めつつ、国道403号線の早期改良と合わせ、河東地域の公共交通網のあり方について改めて再考していくことが問われそうです。
➎約15億7千万円の負債額を抱え債務超過となっている戸隠スキー場など戸隠観光施設事業会計のあり方について、地方公営企業法の改正を受け、過去の投資による負債を処理し財務体質を強化した上で、黒字化に向けた抜本的な経営改革に取り組む方針を示しました。企業会計として存続させることになります。債務を帳消しにして出直すということなのですが、企業会計として残す意味合いがイマイチ不明です。企業会計上の処理と、戸隠スキー場やキャンプ場の健全経営の確保は、別々に検討した方がベターだと考えます。
➏新市民会館の運営管理実施計画案の柱が明らかに…新市民会館は「(仮称)長野市民文化芸術会館」とし、100年の長期計画で市独自の文化芸術を根付かせる考えが示されました。「ながの文化ビッグバンプロジェクト」と命名された計画案は特別委員会で示されたもので、委員から「100年という期間は誰も管理や評価ができず、長すぎるのではないか」との意見が上がったことが信毎で報道されました。新しく設置する財団の運営方法をはじめ、早急に対応方を考える必要があります。詳細は追って掲載したいと思います。
➐水道料金の改定について…平均改定率7.86%で経営審議会の答申がまとめられる方向で中間報告。建設企業委員会で説明が行われました。水道使用水量の減少に伴う水道料金収入の激減していること、老朽管の更新や耐震化によって安全で良質な水を安定的に供給し続けなければならないことなどから、平均改定率7.86%の値上げが必要であるとの経営審議会の考えが示されました。年明け1月に答申され、3月議会での議案となります。
今回の改定の特徴は「料金体系における累進度の緩和」と「大口使用者の負担軽減」が盛り込まれることです。工場等が市外移転とならないよう、大口の水道使用者に対する優遇策が必要であるとの考えですが、その肩代わりは平均一般世帯が負うことになります。事業者の市内定着策は水道料金の優遇策だけではないはずです。
料金改定の方法についてA・B・Cの3案で検討されています。料金改定は止むを得ないとしても、経営見通しの確実性、市民に過度な負担としない公平性の観点から、値上げ原案を吟味・検証し3月議会に臨みたいと思います。