5月31日に開いた「まちづくり・公共交通対策特別委員会」(委員長を務めています)で、長野駅善光寺口駅前広場の整備事業、第1期中心市街地活性化基本計画の総括、新幹線長野以北並行在来線の新駅設置調査、屋代線代替バスの乗降調査の結果、新交通システム導入検討調査等について、市側からの説明を求め協議しました。
中心市街地活性化や地域公共交通の利便性向上のテーマは、新たにスタートした副市長プロジェクトの課題となっていることから、黒田副市長の委員会への出席について事前に調整しましたが、日程が折り合わず、残念ながら副市長の出席は適えられませんでした。
すべてが重要なテーマなのですが、まずは、《善光寺口駅前広場の整備》について、概要と課題を整理してみました。次回は並行在来線新駅設置についてとします。
➊総事業費、約53億円、H24年9月下旬から工事本格化
H9年の新幹線開業や長野冬季五輪に合わせ暫定整備されてきた長野駅善光寺口の再整備が始まります。既に新しい玄関口として「大庇・列柱」をかたどった駅前デザインが決まり、8月には工事着手、9月下旬頃から工事が本格化します。新幹線が金沢延伸となるH27年3月までの完成を目指す大規模プロジェクトの一つです。
JRの駅ビル整備と同時進行する事業で、仏都・長野を象徴する大庇・列柱の整備、エスカレーターの上下方向の整備、長野電鉄への乗り換えのための地下通路・エレベーター・公衆トイレの整備、平安堂から駅につながるペデストリアン・デッキ(歩行者専用デッキ)の整備が主な内容です。
➋9月下旬に仮設バスロータリー、仮設バス停に移行
地下通路整備のための地下埋設物の移転工事を先行させ、9月下旬頃から、バスロータリーを仮設(4バス停)に縮小、駅前通りに仮設バス停を移動・設置する計画。どの路線のバス停を動かすかはバス事業者と今後協議して決めるとしました。2年以上の長期に亘る仮設バス停となることから、利用者への周知、利用者・バスの安全性の確保、路線バス待機場の確保などが課題となります。また、ペデストリアンデッキの整備に伴いタクシープールも縮小されることになります。ここでも利用者への周知、安全確保が課題となります。
➌歩行者の安全確保が喫緊の課題
駅ビルの整備と併せて考えると、駅前広場は長期にわたる大工事となります。とりわけ地下通路整備に伴い、長野駅から東急に向かう歩行者用通路は2~3メートルに狭くなってしまうとのこと。1日に約3万1千人が通行する駅前、歩行者の動線と安全の確保は喫緊の課題です。
➍JR駅ビルは幅150m、奥行き30mの3階建て、商業テナントビルに
JR東日本長野支社の駅ビル整備の概要が特別委員会で初めて明らかになりました。年内に基本計画を決定するようですが、ホテルメトロポリタンとMIDORIの間で、幅150m、奥行き30mの3階建て・商業ビルとして整備、ステーションションビル・MIDORIが経営主体となるようです。1階、2階には公衆トイレや駅前交番が公共施設として整備されるものの、基本的に物販系テナントが入り、3階はレストラン街として整備されるとのことです。
いずれにせよ、1万㎡を超える商業施設として整備されることになります。地元商店街との協議・合意形成は言うまでもありませんが、「長野の顔の整備」とはいえ、駅前への一極集中に弾みをつけることになります。中心市街地全体のバランスある振興、特に再生が待ったなしの状況にある権堂地区の再生への影響を、今からしっかりと見極め、必要な手立てを講じていくことが重要です。
➎「長野駅善光寺口デザインフォーラム(仮称)」を立ち上げ、市民参加・官民協働の運営へ
この日の特別委員会で市側は、駅前広場の利活用・運営を市民参加、官民協働で進めるため、「長野駅善光寺口デザインフォーラム(仮称)」を立ち上げる方向性を提起しました。既に5月28日に準備会を立ち上げ、7月下旬には設立したいとのこと。目的や組織の役割、運営方法について質問が集中しましたが、市民参加の趣旨は分かるがイマイチ全体像が見えないといったところです。
将来的には、収益による自立的な運営と利益の社会還元を図るとされることからも、この組織の目的、運営、コンサルタントの配置等について、事業計画案の作成と並行してしっかり吟味する必要があります。
特別委では、歩行者の安全確保、そして安全確保のためのボランテイァの活用、バス利用者の利便性の確保、JR駅ビルと商店街の共存、トイレやエレベーターの設置場所の再検討などについて、市行政側の主体的な取り組みを強く要望しました。
長野市最大の交通結節点の整備となることから、都市整備と商工観光、企画・交通政策との連携が重要です。
また、第1期中心市街地活性化基本計画の総括の報告も受けましたが、若干、自画自賛の嫌いありといったところでしょうか(私見ですが)。1期における総括の視点、課題が第2期計画にどのように活かされているのか、また、権堂地区の再生の課題について、特別委として論点整理を行っていくことを確認しました。