昨日23日、長野県環境保全研究所を訪問し、放射性物質を検査する「ゲルマニウム半導体検出器」を見学してきました。研究所企画総務部企画情報課長の宮川さん、検査官の中込さんにご案内いただきました。
研究所1階にある検査室の一角に独立した部屋が設けられ、現在2台の「ゲルマニウム半導体検出器」が稼働しています。「SEIKO EG&G」製の機器で、約2千万円。重さは約1.5トンあるため床はコンクリート補強されています。22~23℃に室温が維持される必要があり、エアコンが必須となります。面積にして9㎡もあれば十分です。
食材検査では、約8,000秒(約2時間10分)の時間をかけて検査が行われます。水道水では約6時間の検査となるそうです。2,000秒検査もありますが、検出下限値を低くするために8,000秒検査を主流にしているとのこと。検査時間が4倍になることで、放射性物質の検出下限値は、「√4」計算で2分の1になるそうです。
放射性セシウムの新基準値は100ベクレルですが、この基準の「10分の1」を下限値に設定しています。厚生労働省は食品衛生法による「5分の1」を下限値とする通達を出していますが、県では「10分の1」を基準として採用しています。
県の教育事務所に4台導入された「NaIシンチレーションスペクトロメータ」と比較して、セシウム134及びセシウム137がそれぞれ正確に検出することができるそうです。放射性物質の特定の精度に違いがあります。
県の担当者によれば、学校給食食材の場合では、教育事務所の「NaIシンチレーションスペクトロメータ」でスクリーニング検査(放射性物質を含んでいるかどうかをふるいわける第一段階の簡易検査)を行い、「放射性物質が含まれている」検体をさらに「ゲルマニウム半導体検出器」で精密検査を行い、放射性物質の特定及び、その量を検査する2段階の検査体制で臨んでいることになります。
既に、研究所での検査は現状では市町村からの食材検体検査で手いっぱいの状況にあるとのこと。長野市の食材検査、あるいは土壌検査を恒常的に行うことを見据えると、やはり「NaIシンチレーションスペクトロメータ」によるスクリーニング検査と「ゲルマニウム半導体検出器」による精密検査の2重検査体制が望まれることとなります。
長野市は独自の機器導入について「検討中」の段階…。役割の違う検査機器のどちらかを選択する問題ではなく、両方の検査機器を整え、自前の検査体制を構築することが重要です。
市保健所では、ゲルマニウム半導体検出器の場合、重量がある事から1階での設置場所の検討が必要としています。先だって、お母さん方と市長に要望した折には、「所長さんの部屋は広いよね。半分使えばいいんじゃない」との声も。所長室は別にしても、検査室スペースの増設を考えてほしいと願います。放射能とは長い闘いになるのですから…。