◆現地・計画区域を歩いて視察
まず、セントラルスクゥエアに完成した冬季五輪メモリアルポケットパークと秋に大型観光バスの駐車場実証実験を行う予定区域、都市計画道路・県庁緑町線の予定地等を視察。権堂の裏通りの“昼の顔”は“寂れ感”が漂います。
この後、権堂地区再生計画の三つの拠点、一つに「市民交流ステーションの整備」とされる権堂B-1地区再開発の状況をイトーヨーカドー前から概観し、二つに「劇場を核とした滞留空間の設備」と位置づけられる旧富貴楼跡地の「(仮称)市民交流市場(いちば)」、長野ロキシー相生座の「(仮称)権堂劇場」、そして三つに「情報発信拠点の整備」とされる「権堂まちづくりセンター」で権堂まちづくり協議会の皆さんと意見交換といった具合です。
また、旧呉服問屋の土蔵を活用し、カフェやデザイン事務所などが入居する施設「OPEN(オープン)」も視察。場所は権堂アーケード西側入り口近くの旧北国街道沿いで約700㎡の敷地を利用します。30代の若者が中心で「蔵が好きなことが原点。誰もが集まれる場所にしたい」と、手作りで建物の改造に取り組んでいるところでした。
◆確実に動き出してはいる権堂再生
意見交換会では、「権堂で生活する“ひと”を発見し、“ひと”同士のつながりを作りたい」と手作りで発行する「権堂かべしんぶん」や権堂FM放送を通じた情報発信、権堂バル(飲み歩き)の取り組みを通した若い層の引き寄せ、セントラルスクウェアでの観光バス駐車場実験と連動した観光ガイドの養成など、再生に向けた新たな取り組みが報告されました。
◆もう一つの視点…求められる「生活拠点」の発想
一方、歩行者優先道路化が進む中央通りに大型観光バスが往来することへの懸念も示され、子育て世代からは「子どもたちの遊ぶ場所がない。児童センターなど子どもたちを預ける場所がない。若い世代が商売を続けるための環境整備が必要」との声も。
権堂B-1地区再開発で公共施設として子どものための施設や地域包括支援センターなどの福祉施設の導入を検討すべきとしてきた一人としては、「意を得たり」の感も…。「人が集い交流する拠点」づくりと合わせて、「人が住まう生活拠点」づくりの発想が必要であると痛感しました。
私は、権堂地区の再生は、市内唯一のアーケードを活かし、商店街の活性化を図ることがガキだと考えています。アーケードを歩くとシャッターが閉まった店が増える一方、ファッションクラブとか風俗系の店が出店してきています。飲食店と古くからの衣料品店等が混在するアーケードに何が足りないのか、再生に必要な業種・業態は何なのか、もっと考える必要があるように思われます。
◆将来見通せない「県庁緑町線」
中心市街地の交通セルの整備、大型観光バスの駐車場の在り方、さらには後町小学校の跡利用と連動する「県庁緑町線」の整備は待ったなしです。「早急な整備」を求め続けるしかなさそうです。
◆門前町の魅力とは?
特別委員会としては、現地を歩き、再生に取り組むまちづくり協議会の皆さんとの意見交換が懸案の課題だったですが、ようやく実現にこぎつけることができました。
古くから権堂で営業する皆さんと若い世代の皆さんとの横のつながり、人のつながりが広がっていることを実感することはできました。権堂中央部での「権堂劇場」「市民交流市場」の社会実験に向けた準備も始まっているところですが、蔵リノベーションの取り組みと合わせ、“ひとの魅力”が広がり、“ひとが集う”ことを大いに期待したいと思います。
意見交換の中で「松本と比べた長野の魅力とは?」と問いかけられました。何かと比較対象となる両都市ですが、長野市街地の魅力が善光寺を中心する門前町にある事は異論がないと思います。城下町とは違う歴史と文化が息づいているわけで城下町を真似ても違和感があります。城下町にある「華やかさ」ではなく、素朴で質素…「地味」であることが魅力だと思っています。もっとも、この「地味感」を魅力としてどのようにセールスするのかが見えているわけではありませんが…。
新年度の予算要望で提言したのですが、善光寺御開帳だけでなく、善光寺平和サミットとか、祈りにつながる企画があってよいと思います。