松代大本営追悼碑建立29周年の集い

8月10日、旧日本軍による太平洋戦争敗戦末期の松代大本営地下壕工事で犠牲となった朝鮮人労働者を追悼し平和を祈念する集いが象山地下壕入口に建立された追悼碑の前で開かれました。追悼碑建立から29周年です。

主催団体である松代大本営追悼碑を守る会の会員や在日団体の代表ら60人が集い、犠牲者に祈りを捧げました。

地下壕の工事には朝鮮半島からおよそ6000人が動員され、発破事故や栄養失調などによる死者は300人以上ともされていますが、当時の正確な状況は解明されていません。

守る会の表秀隆会長(長野大学名誉教授)は、「日朝・日韓関係に改善の兆しが見られないが、だからこそ、松代大本営地下壕工事を通して、植民地支配、朝鮮人強制連行、強制労働の加害の歴史を正視し、学びながらどう行動するかが問われている」と強調するとともに、「無念と望郷の中で亡くなられた朝鮮半島出身の皆様の霊に哀悼の意を捧げ、これからもこの追悼碑を大切に守っていくことを誓う」と決意を述べました。

今年の集いには、駐新潟韓国総領事館から呉栄煥(オヨンファン)総領事が出席、また在日団体を代表して在日本大韓民国民団県地方本部の金龍洙(キムヨンス)団長、在日本朝鮮人総連合会県本部常任委員会の李明宏(リミョンガン)委員長らから挨拶をいただきました。

追悼碑前での集いに続き、追悼碑を守る会の第30回総会を開き、追悼碑の維持管理と環境整備、地下壕の案内活動に引き続き取り組むとともに、松代大本営工事開始日から80年を迎える本年11月11日当日、さらに来年8月10日の追悼碑建立30年(戦後80年)の節目に在日2団体と連携し記念行事を実施する事業計画を確認しました。

今年5月には、群馬県高崎市の県立公園「群馬の森」に建立されていた朝鮮人労働者追悼碑が県の行政代執行で無残にも撤去されてしまいました。追悼碑は戦時中に動員された朝鮮人労働者の追悼を目的に建立されたもので、市民団体が2001年に群馬県議会に請願し、自民党を含む全会一致で趣旨採択され、市民団体が県の許可を得て設置していたものです。ところが、2014年に植民地支配や強制連行の史実を認めない右翼系団体などが、追悼碑の許可取り消しを求める請願を県議会に提出、賛成多数で採択されたことを受け、群馬県も設置不許可とし、行政代執行で撤去に至ります。かつての植民地支配、朝鮮人の強制連行・強制労働の加害の歴史に向き合おうとしない歴史修正主義の潮流の動向に警戒しなければなりません。

戦争史跡である松代大本営地下壕を、加害の歴史を直視し平和な未来を創っていく「生きた教科書」にしていくことが改めて問われています。

Related Images: